口腔機能低下症とは?

年齢とともに、噛む・飲み込む・話すといったお口の機能は少しずつ低下していきます。これらの機能が複数にわたって低下した状態を「口腔機能低下症(オーラルフレイル)」と呼びます。
加齢だけでなく、歯の本数が減ったり、筋力の低下、噛み合わせの変化なども原因になります。
近年では、早期発見・早期対策によって進行を防ぎ、機能を回復させることができるようになってきました。
こんな症状ありませんか?
口腔機能低下症は、最初は些細な変化として現れます。
次のような症状が当てはまる方は、注意が必要です。
- 食事のときによくむせるようになった
- 飲み込むのに時間がかかる
- 食べこぼしが増えた
- 滑舌が悪くなったと感じる
- お口の中が乾きやすい(唾液が少ない)
- 硬いものが噛みにくくなった
- 以前より食事量が減った
- うまくしゃべれず会話がおっくうになった
一つでも心当たりがあれば、口腔機能が低下してきているサインかもしれません。ぜひ一度、検査を受けてみましょう。
放っておくとどうなるの?
口腔機能低下症は、見逃されやすい症状ですが、放置すると以下のようなリスクがあります。
- 食事がしづらくなり、食べる楽しみが減る
- 滑舌が悪くなり、会話が億劫になる
- 飲み込みが悪くなり、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクが高まる
- 全身の筋力が低下し、寝たきりの原因になることも
- 認知症のリスクが上がることも報告されています
また、「80歳で20本の歯を保つ」ことを目指す8020運動を達成していても、口腔機能が低下していると、その歯をうまく使えないことがあります。
健康な歯があっても、「噛む力」「飲み込む力」「話す力」が低下すれば、誤嚥性肺炎や認知症、寝たきりのリスクが高くなるのです。
具体的な検査内容
当院では、以下のような検査を行い、総合的に口腔機能の状態を確認します。
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舌の動き・舌圧の測定
舌の筋力や動きの滑らかさを調べます
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発音機能の測定(パ行・タ行の反復テスト)
滑舌や発音スピードを評価します
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咀嚼能力検査
ガムなどを用いて、どれだけ噛めているかをチェックします
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唾液の分泌量
乾燥状態(ドライマウス)になっていないか確認します
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咬合力(噛む力)の測定
咀嚼能力の衰えを数値化します
これらをもとに、必要に応じたトレーニングや生活指導を行い、改善をサポートしていきます。
保険での検査が可能です(50歳以上)
令和元年より、50歳以上の方を対象に、保険での口腔機能検査・指導が可能となりました。
費用の目安(保険適用)
項目 | 費用の目安(税込) |
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3割負担の方 | 1,650円程 |
2割負担の方 | 1,100円程 |
1割負担の方 | 550円程 |
所要時間
検査・評価・説明を含めて、おおよそ30〜40分程度のお時間をいただきます。
余裕をもってご来院いただけますと安心です。
※診療内容や保険の種類によって若干前後する場合があります。詳細はお問い合わせください。
ご自身やご家族の健康を守るために

口腔機能の低下は、年齢のせいとあきらめず、正しく向き合うことが大切です。
大切なのは「気づいたときにケアを始める」こと。
当院では、皆さまの「これからの食べる・話す・生きる」を支えるサポートを行っています。
お気軽にご相談ください

「最近、食べこぼしが増えた」「むせやすくなった」「話しづらいと感じる」など、
ちょっとした変化でも、口腔機能の低下のサインかもしれません。
早期のチェックと予防が、将来の健康を守る第一歩です。
担当者からの思い

私自身、祖母と食事をするたびに、必ず1〜2回はむせている様子を見て、「口腔機能が低下しているのかもしれない」と日々感じていました。
もし私がもっと早く、口腔機能低下症について正しい知識を持ち、祖母に伝えることができていたら、もっと快適に、楽しく食事を続けられたのではないか――
そんな思いが今も心に残っています。
だからこそ、このホームページを通じて、少しでも多くの方に「口腔機能低下症」のことを知っていただきたい、そして、検査を受けるきっかけになってほしいと心から願っています。
お口の健康は、人生の楽しさや笑顔に直結しています。
気になることがあれば、どうか一度、私たちにご相談ください。