骨粗鬆症と歯科治療…気をつけることとは?
骨粗鬆症とは、骨の量が少なくなる状態です。
骨の中がスカスカの状態になるため、骨の強度が低くなり、
軽い転倒でも骨折を起こしやすくなります。
骨粗鬆症自体による自覚症状はほとんどなく、背骨の変形や腰痛が生じたり
骨折を起こすと寝たきりになってしまうこともあります。
骨粗鬆症は、閉経による女性ホルモンバランスの変化や栄養のアンバランス、運動不足など
さまざまな要因による骨代謝の異常により生じることがあります。
(※20歳代で、骨に含まれる骨基質の量、すなわち骨密度はピークを迎える)
この骨粗鬆症の治療に使われるお薬として、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブなどがあります。
これらの薬剤の服用中は、歯科治療を併用できないこともあります。
薬の影響で、まれに【 顎骨壊死 】(がっこつえし)を起こすことがあるからです。
顎骨壊死とは、顎の骨が細菌に感染して壊死することです。
骨の成長には骨芽細胞(骨を作る細胞)と、破骨細胞(骨を吸収して壊す細胞)がバランス良く調整され保たれています。
ビスフォスフォネート製剤は骨吸収が抑制されるため、本来なら古い骨細胞を破壊して血液に吸収する骨吸収の役割ができず
古い細胞が残った状態で細菌に感染してしまうことがあり、抜歯やインプラントなどの骨に外科的治療を受けたとき、
通常なら自然治癒するところが修復されず
結果、細菌が繁殖して炎症を起こし、顎の骨を腐らせるというわけです。
※歯科治療における外科的治療以外でも、歯周病菌や感染病巣の放置により顎骨壊死を起こすこともあります。
骨粗鬆症治療薬による顎骨壊死を防ぐには、まず、骨粗鬆症治療薬の服用と歯科治療をずらすことが大切です。
歯科治療は骨粗鬆症の治療の前か、治療終了後に行いましょう。
骨粗鬆症と歯科治療を同時に行う場合は、骨粗鬆症の治療薬を服用していることを歯科医師に相談しましょう。
これらのお薬は、投与する前に説明を受けているはずですが、患者さんはちゃんと理解されていない場合もあります。
骨粗鬆症の治療中は、口腔を清潔に保つことも大切です。
口腔を清潔に保つことで、細菌感染のリスクが大きく低減するためです。
歯科治療を受ける患者さんは、骨粗鬆症のお薬を服用されているかどうかを
担当の医師・薬剤師にお問い合わせのうえ、お薬を飲まれている場合は必ずおくすり手帳を持参し、
担当の歯科医師にお伝え下さい。
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